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フットボールはバーカウンターのモニターの中で緑色に輝いていた |
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頭上のモニターの中では、色あざやかな緑色が輝いている。 その頃の俺の居場所は、マッドマックスの舞台となる近未来の廃墟みたいなバーの片隅だった。そしてそこから、いつもそのまぶしい緑色。 バーがあったのは、路地のどんづまりにある墓地の崖の上。墓堀人がつくった見張塔かのように、崖の上に突き出てビルがあった。バーはその一階。オーナーは「六本木心中」の頃に、かなりいかがわしい仕事とディスコ経営でしこたま儲けて、その危ない橋を渡りつつ稼いだ金をもとに、恋人のユダヤ人とともにイスラエルに渡り、そこで日本人向けのバーをはじめて、三年で店を潰して帰ってきた人だ。 |
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客が常連だけの時間帯になると、レコードは適当に長めの歌モノのハウスをかけてからDJブースから出てきて、適当に客の相手をする。 この時代が自分にとってサッカーが一番面白かった時代だ。ヘンな話だが、レコードをつないでいく合間に見ていたサッカーだ。しかし、サッカーは、バーカウンターに吊るされたモニターの中にまぶしく輝いていた。 勤めていたゲーム会社を辞めて、サッカーバーをやろうと決めたのはそれからしばらく先だ。あの緑色の発光体だけを肴に酒が飲める店をやろう、と。 |
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いろんなやつと会いたいし、たくさんの人間の物語を聞きたい。サッカーには申し訳ないけれど、自分にとってはサッカーはそのためのひとつの手段なのかも知れない。今でもそれは変わらない。 以上は、テレビに映るピッチの緑色の光線にやられちまった、バチ当たりで愚か者であるサッカーバーの店主のどうでもいい話である。 さて、あなたがスポーツバーに行くのならば、カウンターの中の人と話してみるがいいと思う。 自分が浴びたそれと似たによったりの、あの緑色の光線にやられちまった人たちばかりだということに気がつくはず。 サッカーをめぐる物語はピッチにだけあるのではないのだよ。 |
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ますたろう 生年月日不明。 |
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